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「さうです、小倉組の方ですな」
後で馬がいないと云ふので騒ぎだつた。
「なるほどね」
「それに、永い間この土地をはなれていたもんですから、土地の事情にもすつかり疎うとくなりましてね、これは一つ、どうしても今後こちらのお力にすがらないことには立つていけないと思つている次第ですが――」
「なあ、先生」
「わたしやア――」
と手早く切り上げて、堂本の家を出た。
房一は立ち上つた。すると、着古しのワイシャツから下はズボンなしの毛むじやらな肥つた円つこい肉のついた脚がによつきりと出た。さつき河の中に入つたときに、ズボン下を脱いでしまつたのだ。
道平は納得したやうにうなづいたが、又ゆつくり身体を坐りなほすのと一緒に、
「ふむ、さうすると――」
さつきから、日のあたる縁側近くに縫物を持ち出していた盛子は、あんまりびつくりしたのと身体が重いのとで、立上ることを忘れてかう感嘆詞を連発しながら、あの語尾の跳ね上りを少し響かせながら、庭先に現れた人影に向つて目を瞠みはつていた。
「買収ですかな」
「はあ、それは――」